修繕で価値を戻す
私たちは傷のない新品だけが価値あるものとは考えていません。必要な箇所に処置を施した製品は、他にはない個性が付与された特別なものとなります。そこにはその製品の完成までに費やされた時間や工程を受けて、修繕を行う人の技術や機転が反映されています。
MITTANでは製造工程で生じた破れ・汚れ・変色など、本来はB品として値引きや廃棄の対象となる製品に修繕や染め直しを施し、価値を下げずに定価で販売しています。服の生産にあたって積み重ねられた工程と手間を尊重し、その痕跡を一着ごとの特性として扱うことで服の価値を保ち、継続的な着用へとつなげます。
写真の製品については、生地に穴が空いてしまった箇所に対して、綿糸にて「ダーニング」という手法を用いて修繕を施しています。綿糸を使うことで今後の染め直しの際にも糸が同色に染まり、統一感のある仕上がりが保たれることを想定しています。
修繕方法については個々の製品に合わせて、最適な方法を考えて行います。敢えて目立つような糸色で大胆なステッチを施す場合もあれば、極力目立たないように生地と同色の糸を使い、細かいステッチにて修繕を行う場合もあります。修繕された製品は、量産品とは異なる特別な一着として仕上がり、主に京都直営店にて販売を行っています。
このような過程を通して、原料から新しいものを作るだけではなく、既存のものに手が加わることでさらなる価値が育まれるものづくりの豊かさを感じていただければと思っています。