手織り
織り機の前後に張った経糸に杼(ひ)を手で通し、緯糸を一本ずつ打ち込む伝統的な技法です。足踏み式の踏木で経糸を開き、杼を通す際に織り手が力加減を調整することで、経糸と緯糸の張力を自在にコントロールします。この微細なテンション調整により、機械織りでは出にくい独特のムラ感が生まれ、布面にリズミカルな凹凸が刻まれます。
織り手は糸一本一本の動きを感じ取りながら織り進めるため、打ち込みのリズムや杼の入れ方によってわずかな表情の違いが現れます。同じ糸・同じパターンでも、一反ごとに異なる個性が際立ち、規則的でありながら絶妙にずれた隙間や光の反射が布に奥行きを与えます。こうした手織りの布は、その素朴で個性豊かな風合いが最大の魅力となっています。
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