亜麻
亜麻(リネン)は、繊維軸に沿って力強い線条が走り、多角形の断面に大小の気室(中空構造)を備える天然の靭皮繊維です。この構造により硬めのシャリ感が際立ち、肌に張りつかず、汗ばむ季節でもべたつきを感じさせません。
収穫後の茎は、水につける方法や畑の上に寝かせる方法で、微生物や太陽の力を利用して不要な柔組織を分解します。十分に柔らかくなったら、破砕して繊維と茎を分離し、櫛通しで精製して糸へと仕立てます。繰り返し洗うほど毛羽立ちが抑えられて光沢が増し、湿った状態では繊維強度が高まるため、長く清潔な状態と風合いを保てます。
また、中空構造が空気を含むことで保温性を発揮し、春夏は優れた通気性と吸湿速乾性で涼感を維持しつつ、肌寒い季節にはほどよい暖かさを提供します。栽培段階では灌漑をほとんど必要とせず、害虫被害も少ないため、農薬や化学肥料の使用量が著しく少なく、水資源や土壌への負荷を抑えた持続可能な素材として高く評価されています。
主な繊維用産地はフランス(ノルマンディー地方など)、ベルギーやオランダの沿岸域で、世界シェアの約75%を占めています。
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