大麻
大麻(ヘンプ)は古来より衣料や生活道具に利用されてきた植物性の靭皮繊維です。繊維は強靭でありながら軽量で、優れた通気性と吸湿性を備え、肌に清涼感をもたらします。使い込むほどに繊維同士がしなやかに馴染み、自然な光沢と奥行きのある風合いが生まれます。
化学肥料や農薬をほとんど必要とせず、降雨のみで栽培できるため、灌漑による水消費を抑制します。成長サイクルが短いことから温室効果ガスの吸収や土壌の保全にも寄与し、持続可能な素材として高く評価されています。
日本では「麻」と聞くとリネンを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、衣料に用いられる主な「麻」は亜麻(リネン)、苧麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)の三種で、それぞれ異なる植物の茎から採取される靭皮繊維です。古くは「麻」といえば大麻を指していましたが、現在は広くこれらを含む総称として用いられています。
日本の歴史においては、縄文時代草創期の遺跡から大麻の繊維片が発見されるなど、太古から人々の暮らしに根付いてきました。神社のしめ縄や相撲の綱に用いられ、江戸時代以前は木綿が普及するまで大麻や苧麻が主要な繊維でした。明治以降に亜麻が広まり、第二次世界大戦後の大麻取締法制定により生産が許可制となったため、現在では国内での産業規模栽培はほとんど行われていません。そのため、MITTANでは品質とトレーサビリティに優れた中国・黒竜江省産の大麻を主に使用しています。
MITTANでは、古来から受け継がれる背景と優れた機能性、そして低い環境負荷に着目し、大麻素材を継続的に取り入れています。
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